リフトアップに届け出は要る?「指定部品」と「4cm」の考え方
キャンプや雪道、未舗装の道へ出かけるために、ハイエースの車高を上げる「リフトアップ」。気になるのが「届け出(構造変更)が要るのか」という点です。
この記事では、国の通達をもとに、届け出が要るかどうかを分けるポイントを整理します。答えは「どの部品を、どう付けて、車検証の値からどれだけ変わるか」で変わります。最後は、ご自分の車の内容でお店にご相談ください。
届け出が要るかを分ける3つのポイント
車検証には、車の長さ・幅・高さが書かれています。改造でこの値が変わると、車検証を書き換える手続き(構造等変更検査)が要るのが基本です。
ただし、国土交通省の通達では、部品を付けたときの扱いが決められています。見るところは、次の3つです。
- 付ける部品が、国の決めた「指定部品」に入っているか
- 部品をどう付けるか(手で外せる・ボルトなど・溶接やリベット)
- 付けたあとの高さが、車検証の値からどれだけ変わるか
「指定部品」とは
指定部品は、付けても車の構造が大きく変わりにくいとして、国が通達の中で一覧にしている部品です。エアロパーツやルーフラックのような外まわりの部品から、足まわりの部品まで並んでいます。
リフトアップに関係しそうなものを抜き出すと、次のとおりです。
足まわり(緩衝装置)
- コイルスプリング
- ショックアブソーバ
- ストラット
- ストラットタワーバー
タイヤまわり(走行装置)
- タイヤ
- ホイール
一覧には、このほかにグリルガード、アンダーガード、ラダー(はしご)、ルーフラック、ミラーなども入っています。
一覧に名前がない部品もあります
リフトアップでは、ほかにもいろいろな部品が使われます。通達の指定部品の一覧に名前がない部品は「指定外部品」として扱われ、次の節の「4cm」の考え方がかかわってきます。使う部品がどちらに当たるかは、お店にご確認ください。
付け方で変わる考え方
通達では、部品の付け方を3つに分けています。
この分け方と部品の種類を組み合わせると、次のようになります。
指定部品を、ボルトなど(溶接・リベット以外)で付ける
車検証の長さ・幅・高さを書き換えなくてよい扱いです。通達のこの扱いには、変わる高さの上限は書かれていません。
指定部品を溶接・リベットで付ける/指定外部品を付ける
付けたあとの高さが、車検証の値の ±4cm の範囲に入っていれば、書き換えなくてよい扱いです。範囲を超えると、構造等変更検査が要ることがあります。
手で外せる付け方で部品を付けた場合も、書き換えなくてよい扱いになっています。
「4cm」は何とくらべるのか
ここで大事なのが、くらべる相手です。通達では、車検証に書かれている値とくらべるとしています。改造する前の車の高さではありません。
たとえば、前に別のカスタムで高さが変わっていて、車検証の値と少しずれている車もあります。そこへ部品を足すと、車検証の値からのずれが合わせて4cmを超えることもあります。中古で買った車などは、今の状態が車検証の値とどう違うかを、まず確かめておくと安心です。
長さ・幅や重さにも範囲があります
通達では、高さのほかにも、車検証の値とくらべる範囲が決められています。
- 長さ:±3cm
- 幅:±2cm
- 車両重量:小型自動車は±50kg、普通自動車は±100kg
大きなタイヤや、張り出しのある部品を付けるときは、高さだけでなく幅も変わることがあります。ハイエースが小型自動車と普通自動車のどちらに当たるかは、車検証で確かめられます。
届け出が要らなくても、守ること
保安基準に合っていることが前提です
通達は、部品を付けた状態で、車の決まり(保安基準)に合っていることを前提にしています。届け出が要らない部品でも、付けた結果、基準に合わなくなれば車検には通りません。基準に合わない車は、国から整備を命じられることもあります。
ほかにも、通達には次のような決まりがあります。
- ショックアブソーバやストラットを替えて、走りながら運転席などから車の姿勢をかんたんに、急に変えられるようにしてはいけない
- 車の外側に、先のとがった部分や鋭い部分があってはいけない(指定部品の外まわりの部品)
- ほかの変更で構造等変更検査を受けることになった場合は、ここまでの扱いは使えない
お店に相談するときに伝えたいこと
リフトアップの相談では、次のことを伝えると話が進みやすくなります。
- 車検証の内容(型・長さ・幅・高さ・車両重量)
- どのくらい上げたいか、どんな道を走りたいか
- 替えたいタイヤやホイールの大きさ
- 使いたい部品と、自分で買った部品を持ち込むかどうか
- 前にしたカスタムがあれば、その内容
届け出が要るか、構造等変更検査までお願いできるかは、お店によって違います。かかる費用や日数も、車の状態や部品によって変わります。くわしくは、お店に見積りをご依頼ください。
まとめ
- 届け出が要るかは、部品の種類・付け方・車検証の値からの変わり方で決まります。
- コイルスプリングやショックアブソーバ、タイヤ・ホイールは、国の指定部品に入っています。
- 指定部品をボルトなどで付ける場合は、車検証を書き換えなくてよい扱いです。
- 溶接・リベットで付ける場合や指定外部品は、車検証の値から高さ±4cm以内なら、書き換えなくてよい扱いです。
- どの場合も、保安基準に合っていることが前提です。
車高を下げるときの決まりは、ハイエースのローダウンと車検でまとめています。ほかの疑問は、よくある質問もご覧ください。
出どころ
- 国土交通省「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査時等における取扱いについて(依命通達)」(平成7年11月16日 自技第234号・自整第262号、最終改正 平成27年6月11日)
- 国土交通省「『自動車部品を装着した場合の構造等変更検査時等における取扱いについて(依命通達)』の細部取扱いについて」(平成7年11月16日 自技第235号、最終改正 平成15年4月8日)
- 国土交通省 東北運輸局 宮城運輸支局「構造等変更検査」
ハイエースの車高を下げる「ローダウン」。見た目を変えるカスタムのひとつですが、「車検に通るのか」「何センチまで下げてよいのか」が気になる方もいると思います。
この記事では、車検で見られる「最低地上高」の決まりと、届け出(構造変更)が要るかどうかの考え方を、国の資料をもとにまとめます。実際の判断は車ごとに変わります。最後はお店にご相談ください。
車検で見られる「最低地上高」とは
最低地上高は、地面と車の下側とのすき間のことです。車の決まり(保安基準)では、タイヤ以外の部分が、安全に走れるだけのすき間を地面との間に持つことを求めています。

車検でどう審査するかは、自動車技術総合機構の「審査事務規程」に書かれています。ここに、すき間を数字で判定するための基準があります。
数字の基準で判定する車
- 普通自動車・小型自動車で、車両総重量が2.8t以下のもの(乗車定員11人以上の車を除く)
- もっぱら乗用に使う車で、車両総重量が2.8tを超えるもの(乗車定員11人以上の車を除く)
- 最低地上高が低くなるよう改造された軽自動車
ハイエースはどれに当たる?
型や登録の種類、重さによって、どれに当てはまるかが変わります。車両総重量や乗車定員は車検証に書かれています。車検証を手元に置いて、お店にご確認ください。
なお、メーカーが作ったままの状態と同じと認められる車は、基準を満たしているものとして扱われます。ローダウンで車の下が変わったら、あらためて数字で確かめることになります。
「9cm」だけではない、3つの見方
よく「9cm」と言われますが、審査事務規程では、場所ごとに3つの見方があります。
車の下全体:9cm以上
まず、車の下のどの場所でも、地面とのすき間が9cm以上あることが求められます。
前輪と後輪の間:軸距で変わる
前輪と後輪の間では、軸距(前輪の中心から後輪の中心までの長さ)を使って計算します。
軸距が長い車ほど、求められるすき間は大きくなります。同じハイエースでも、ボディによって数字が変わることがあります。
前輪より前・後輪より後ろ:はしほど大きく
前輪より前と後輪より後ろでは、タイヤの中心から測る場所までの距離を使います。
車の前や後ろのはしに近いほど、大きなすき間が要ります。バンパーまわりを下げるときは、とくに気をつけたいところです。
測り方の決まり
- 荷物や人を乗せない「空車状態」で測る
- タイヤの空気圧は決められた値にする
- 車高を調整できる装置は、標準の位置にする。好きな高さで止められるものは、いちばん低い位置といちばん高い位置の中間にする
- 舗装された平らな場所で、巻尺などで測る
- 測った値も、求められる値も、1cm未満は切り捨てる
測る場所から外れる部分・基準がゆるくなる部分
測る対象から外れる
- タイヤと一緒に上下するブレーキドラムの下のはしや、ロアアームの下のはし
- 自由に動くゴムの部品
- 樹脂でできたマッドガードやエアダムスカートなど
丈夫なつくり・アンダーカバーの部分
に読み替えます。路面に当たっても耐えられる丈夫なつくりの部分や、大事な装置を守るアンダーカバーなどが付いた部分です。どの部分がこれに当たるかは、実際の車を見て判断されます。
届け出(構造変更)は要るの?
車検証に書かれた長さ・幅・高さなどが変わる改造をしたときは、「構造等変更検査」を受けるのが基本です。ただし、国の通達では、次のような場合は、この検査が要らない扱いになっています。
決められた部品を、溶接・リベット以外で取り付ける
国が定めた「指定部品」を、溶接やリベット以外の方法で固定して取り付ける場合です。足まわり(緩衝装置)の指定部品は次の4つです。
高さの変わり方が4cm以内
指定部品を溶接・リベットで取り付ける場合や、指定部品ではない部品を取り付ける場合は、高さの変わり方が±4cm以内なら、検査が要らない扱いです。これを超えると、構造等変更検査が必要になることがあります。
ショックアブソーバやストラットを替えて、走りながら運転席などから車の姿勢をかんたんに、急に変えられるようにすることは認められていません。また、ほかの変更で構造等変更検査を受けることになった場合は、上の扱いは使えません。
届け出が要らなくても、基準は守る
どの場合も「保安基準に合っていること」が前提です。届け出が要らない部品でも、最低地上高が足りなければ車検には通りません。部品を付けて基準に合わなくなった車は、国から整備を命じられることもあります。
お店に相談するときに伝えたいこと
ローダウンの相談では、次のことを伝えると話が進みやすくなります。
- 車検証の内容(型・車両総重量・乗車定員)
- どのくらい下げたいか、どんな見た目にしたいか
- 使いたい部品(自分で買った部品を持ち込むかどうか)
- 車検もあわせて頼みたいか
かかる費用や日数は、車の状態や部品によって変わり、お店によって違います。くわしくは、お店に見積りをご依頼ください。
まとめ
- 最低地上高は、車の下全体で9cm以上が基本です。
- 前輪と後輪の間は軸距で、前と後ろのはしは距離で、求められる値が変わります。
- 空車状態・決められた空気圧・平らな場所で測り、1cm未満は切り捨てます。
- 指定部品を溶接・リベット以外で付ける場合や、高さの変わり方が4cm以内の場合は、構造変更が要らない扱いです。
- どの場合も、保安基準に合っていることが前提です。
ほかの疑問は、よくある質問にもまとめています。ご自分の車でどこまで下げられるかは、車検に通る範囲で仕上げてもらえるか、お店にご相談ください。