ハイエースの車高を下げる「ローダウン」。見た目を変えるカスタムのひとつですが、「車検に通るのか」「何センチまで下げてよいのか」が気になる方もいると思います。
この記事では、車検で見られる「最低地上高」の決まりと、届け出(構造変更)が要るかどうかの考え方を、国の資料をもとにまとめます。実際の判断は車ごとに変わります。最後はお店にご相談ください。
この記事でわかること
- 車検で見られる「最低地上高」の3つの見方
- すき間の測り方と、測る場所から外れる部分
- 届け出(構造変更)が要らない2つの場合
01車検で見られる「最低地上高」とは
最低地上高は、地面と車の下側とのすき間のことです。車の決まり(保安基準)では、タイヤ以外の部分が、安全に走れるだけのすき間を地面との間に持つことを求めています。

車検でどう審査するかは、自動車技術総合機構の「審査事務規程」に書かれています。ここに、すき間を数字で判定するための基準があります。
数字の基準で判定する車
- 普通自動車・小型自動車で、車両総重量が2.8t以下のもの(乗車定員11人以上の車を除く)
- もっぱら乗用に使う車で、車両総重量が2.8tを超えるもの(乗車定員11人以上の車を除く)
- 最低地上高が低くなるよう改造された軽自動車
ハイエースはどれに当たる?
型や登録の種類、重さによって、どれに当てはまるかが変わります。車両総重量や乗車定員は車検証に書かれています。車検証を手元に置いて、お店にご確認ください。
なお、メーカーが作ったままの状態と同じと認められる車は、基準を満たしているものとして扱われます。ローダウンで車の下が変わったら、あらためて数字で確かめることになります。
02「9cm」だけではない、3つの見方
よく「9cm」と言われますが、審査事務規程では、場所ごとに3つの見方があります。
車の下全体:9cm以上
まず、車の下のどの場所でも、地面とのすき間が9cm以上あることが求められます。
前輪と後輪の間:軸距で変わる
前輪と後輪の間では、軸距(前輪の中心から後輪の中心までの長さ)を使って計算します。
軸距が長い車ほど、求められるすき間は大きくなります。同じハイエースでも、ボディによって数字が変わることがあります。
前輪より前・後輪より後ろ:はしほど大きく
前輪より前と後輪より後ろでは、タイヤの中心から測る場所までの距離を使います。
車の前や後ろのはしに近いほど、大きなすき間が要ります。バンパーまわりを下げるときは、とくに気をつけたいところです。
測り方の決まり
- 荷物や人を乗せない「空車状態」で測る
- タイヤの空気圧は決められた値にする
- 車高を調整できる装置は、標準の位置にする。好きな高さで止められるものは、いちばん低い位置といちばん高い位置の中間にする
- 舗装された平らな場所で、巻尺などで測る
- 測った値も、求められる値も、1cm未満は切り捨てる
測る場所から外れる部分・基準がゆるくなる部分
測る対象から外れる
- タイヤと一緒に上下するブレーキドラムの下のはしや、ロアアームの下のはし
- 自由に動くゴムの部品
- 樹脂でできたマッドガードやエアダムスカートなど
丈夫なつくり・アンダーカバーの部分
に読み替えます。路面に当たっても耐えられる丈夫なつくりの部分や、大事な装置を守るアンダーカバーなどが付いた部分です。どの部分がこれに当たるかは、実際の車を見て判断されます。
03届け出(構造変更)は要るの?
車検証に書かれた長さ・幅・高さなどが変わる改造をしたときは、「構造等変更検査」を受けるのが基本です。ただし、国の通達では、次のような場合は、この検査が要らない扱いになっています。
決められた部品を、溶接・リベット以外で取り付ける
国が定めた「指定部品」を、溶接やリベット以外の方法で固定して取り付ける場合です。足まわり(緩衝装置)の指定部品は次の4つです。
高さの変わり方が4cm以内
指定部品を溶接・リベットで取り付ける場合や、指定部品ではない部品を取り付ける場合は、高さの変わり方が±4cm以内なら、検査が要らない扱いです。これを超えると、構造等変更検査が必要になることがあります。
ショックアブソーバやストラットを替えて、走りながら運転席などから車の姿勢をかんたんに、急に変えられるようにすることは認められていません。また、ほかの変更で構造等変更検査を受けることになった場合は、上の扱いは使えません。
届け出が要らなくても、基準は守る
どの場合も「保安基準に合っていること」が前提です。届け出が要らない部品でも、最低地上高が足りなければ車検には通りません。部品を付けて基準に合わなくなった車は、国から整備を命じられることもあります。
04お店に相談するときに伝えたいこと
ローダウンの相談では、次のことを伝えると話が進みやすくなります。
- 車検証の内容(型・車両総重量・乗車定員)
- どのくらい下げたいか、どんな見た目にしたいか
- 使いたい部品(自分で買った部品を持ち込むかどうか)
- 車検もあわせて頼みたいか
かかる費用や日数は、車の状態や部品によって変わり、お店によって違います。くわしくは、お店に見積りをご依頼ください。
05まとめ
- 最低地上高は、車の下全体で9cm以上が基本です。
- 前輪と後輪の間は軸距で、前と後ろのはしは距離で、求められる値が変わります。
- 空車状態・決められた空気圧・平らな場所で測り、1cm未満は切り捨てます。
- 指定部品を溶接・リベット以外で付ける場合や、高さの変わり方が4cm以内の場合は、構造変更が要らない扱いです。
- どの場合も、保安基準に合っていることが前提です。
ほかの疑問は、よくある質問にもまとめています。ご自分の車でどこまで下げられるかは、車検に通る範囲で仕上げてもらえるか、お店にご相談ください。
出どころ
- 独立行政法人自動車技術総合機構「審査事務規程 7-3・8-3 最低地上高」
- 国土交通省「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査時等における取扱いについて(依命通達)」(平成7年11月16日 自技第234号・自整第262号)
- 国土交通省「『自動車部品を装着した場合の構造等変更検査時等における取扱いについて(依命通達)』の細部取扱いについて」(平成7年11月16日 自技第235号)
- 国土交通省 東北運輸局 宮城運輸支局「構造等変更検査」
写真:写真AC(イメージ)

